見送る者

崩れる音は とても静かだった
まるで 誰かの寝息のように
石が 記憶を手放していく

わたしは 立っていた
助けることも すがることもせず
ただ 終わりを見届ける者として

 
あなたがいた証だけを
胸の奥に 灯して
ひとり 次の朝へ向かう

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