神さまが消えた日

神さまが消えた日

空は 何も知らない顔をして

いつものように 朝を連れてきた

 

鐘は鳴らなかった

祈りの言葉も どこかへ行った

それでも 鳥は飛び

風は いつもと同じ匂いを運んでいた

 

誰も泣かなかった

誰も叫ばなかった

ただ 小さな静けさが

すべてを覆っていた

 

神さまがいた証は

壊れた祠と 忘れられた祝詞

それを抱くようにして

ひとりの少女が 眠っていた

 

“信じる”ということを

誰も口にしなくなったけれど

それでも 誰かがそっと

空を見上げていた

 

神さまが消えた日

世界は終わらなかった

でも ほんのすこしだけ

声が小さくなった気がした

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