仕事が終わらない。
頭が重くて、目の前の文字がぼやける。
「あと少し……もう少し……」
そう言い聞かせながらキーボードを叩くが、思考は霧の中をさまよっている。
ふと、机の端に置いてある観葉植物が目に入った。昨日までピンと張っていた葉が、少ししおれている。
「水、足りてなかったかな……」
そう思った瞬間、自分のことも同じなのでは、と気づいた。
植物は水が足りなければ元気をなくす。
人だって、休まなければ動けなくなる。
「……よし、休もう」
パソコンを閉じ、窓を開ける。
冷たい風が頬をなで、頭の中の霧が少し晴れた気がした。
観葉植物に水をやる。
そして、自分には温かいお茶を淹れる。
「大丈夫、休んだらまた動ける」
ゆっくり息を吐きながら、湯気の立つカップを手に取った。
