朝が来ない村

夜が降りたまま 日は昇らない

時計の針も 眠ることを覚え

火は消えず 影は消えない

ここは 朝のない村

 

人々は だんだんと夢を見なくなった

光を忘れ 目を閉じたまま

それでも 誰も騒がず

静けさだけが 広がっていく

 

ある夜

ひとりの旅人が 村の門を叩いた

その足元には 小さな灯りと

「朝を探しています」と書かれた古い地図

 

「朝はどこに行ったの?」

「なぜ私たちは、夜を愛しすぎてしまったの?」

 

旅人の背に 誰も気づかない風が吹く

その手には 夜明けよりも淡い 懐かしい匂いがあった

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